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[コメント] ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う(2010/日)

「ドゥオーモ」で「熟成」させる、っていうこの禍々しくキャッチーなフレーズは素晴らしい。佐藤寛子の「ヌード」には確かに存在感があるのだが、役者としてはやはり大竹しのぶ、井上晴美に喰われ気味。
MSRkb

**ネタバレ注意**
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だからこその、あの「地獄のような家族」(大竹、井上、宍戸錠)への復讐計画がちょっとしたサプライズ気味に生きてくるところではあるんだけど、でももうちょっと、村木に対してのファム・ファタルとしての存在感は欲しいところだった。

というか、物語的に村木の存在が「探偵役」以外にはそれほど必然性はなく、よってヒロインを「天使だ」とまで言って守ろうとするのは、かなり一方的な思い込み、一歩間違えれば童貞的騎士道精神の美学と言えないこともない。ここは「続編」としたゆえの物語上の弱みだとは思うが、逆に言えば前作でああなったからこその今作の村木、ということでもあるので、一概に短所とも言えない。

だが物語上のそういった瑕疵やバランスの悪さなど、石井隆の映画にはどうでもいいことなのは自明で、本作も例によって実に楽しい。夜とネオンと雨の冷たく濡れた美しさと、そこで繰り広げられる安っぽくて生々しく小汚い暴力と性。どぎついリアリティに目を奪われていると、ふとした瞬間に画面には幻想的な絵が生まれている。スナックでの拉致から「ドゥオーモ」での惨劇に繋がるクライマックスは、まさにその神髄といえるだろう。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)DSCH 3819695[*] ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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