[コメント] マディソン郡の橋(1995/米)
原作本が大ブームだった当時、母親が買って読み、勧められて自分も読んだ。当時は自分も若かったし、さっぱり良さが理解できなかった。それより大感動してる母親の姿を見て「おいおい、まさかこんなこと…」とけっこう本気で不安になったものだ。
当時の母親、そして、劇中のメリル・ストリープと同年代になった今は痛いほどよくわかる。別に不倫肯定とか、真実の愛がどうとかいう話ではない。これは、折り合いをつけたはずの人生に対して未練の炎が一瞬燃え上がる様を描いた話なのだ。人生の曲がり角を過ぎた中年世代なら誰しも多かれ少なかれ思い当たる部分があるだろう。母の遺言で知られざる出来事を知る劇中の息子と娘の心情も然り。その意味でR40指定なのだ。
その煩悩の迸る瞬間を、よろめく情念を垣間見せるストリープと、如何わしくも堂々たる超然のイーストウッドの対決により、説得力を吹っ飛ばすほどの力技で押し切る演出の力に感服する。中盤からモノローグとダイアログ中心となり、正直映画としてはダレるのだが、映画史に残る豪雨の別れのシーン、車、家、橋…全てのシチュエーションが胸に迫る切実さを帯びている。
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