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[コメント] GODZILLA ゴジラ(2014/米)

クライマックスの戦いぶりのコッテリ感こそ、最近のハリウッド映画に感じるバズ・ラーマン的あるいはジェームズ・キャメロン的なくどさであるが、ここだけがたっぷりとしているので、それまでのテンポと変わったことで救われている。どころか、とても良い効果を与えている。
ジェリー

ちょっと話が変わるが、あのような戦い方をするゴジラを見たことはなかったし、ヒレを海中からおったてて泳ぐゴジラも初めてのような気がする。規模感(つまり身長とか体重などの物理的な量感)もおそらくゴジラ映画史上最大。その意味では神話素としてのゴジラに新たな相貌を従来イメージを崩さずに付加してくれたセンスは好ましい。勉強の度合いは相当なものと思う。核という抽象的課題との距離のとり方もこれ以上ちかよるとエンタテインメントとしての節度超えをきたすという程度に抑えた、真剣な間合い感を持ったいい加減さである。筋はいい。

そして、この監督の荒削りながら感じるセンスは、物語ることをそこそこに、主役や悪役(俳優ではなく怪獣のこと)すらサクサク省略して、フィリピン、日本、ハワイ、ラスベガス、サンフランシスコという舞台の移動を示したことだ。移動こそ映画の芸術的な甘美感の芯である。そして、最後の戦いのところだけこてこてと自分のやりたかったことをたっぷりと入れ込んだ感じだ。サンフランシスコという主戦場に向けた、中継地での戦いでの語り口の節約。120分全部を見所にしようとする力み返り帰った大作達の中で強烈な清涼感を漂わせてくれた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)Orpheus 3819695[*] 荒馬大介[*] プロキオン14[*] けにろん[*]

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