[コメント] ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016/米)
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泣いた! 感動した! ということをもってしてイコール作品の評価とするほど初心ではないが、だがこれはねえ、こんなもん泣くに決まってるだろ! と『クリード』を見たときと同様の感想を抱いた。これねえ、くたびれた中年には覿面に利くよ……。
ギャレス・エドワーズはわりと信頼しているけども、確かに第一部第二部あたりまではタルいというかぼんやりしたところのある映画だった(でも個人的にはそれほど気にならなかったな)。大幅な撮り直しと再構築について公開後さまざまな関係者が証言しているので、この映画についてどの程度がギャレス・エドワーズの責任あるいは手柄なのかはまあよくわからん。撮り直し部分を主導したというトニー・ギルロイの手柄の部分が大きいのかもしれない。まあとにかく、第三部は倍々ゲームで良くなっていくし、ラスト5分、特にスタッフロールが入るタイミングは完璧だった。あまりに良いのでスタッフロールが半分を過ぎるころまでむせび泣いてしまった。
ドニー・イェンとチアン・ウェンのコンビ(と本編シリーズにも出てくるキャラクター)以外はみんな、すぐ忘れてしまいそうな絶妙のモブ面に造形されているのも良かった。それはマッツ・ミケルセンとフォレスト・ウィテカーでさえそうで、徹底してるなと思う。特に「キャプテン」の立場なのに一切キャプテンらしいところなくやさぐれた、ふてくされたような表情のままだったキャシアンが、反乱同盟軍のために汚れ仕事をしてきた自分たちも大義が欲しいのだと協力を申し出るところ、あれで最初にウルっと来た。名もない、交換可能な、つまり我々のような普通の人々が、人生の決定的な一瞬に只一度の大きな賭けをする物語なのだ。その賭けに勝てる確率はほぼゼロ(なにしろヒーロー補正が効かない)だが、それでも賭けることに決めた人々の物語なのだ。
見終わって、主人公が父親に呼ばれていた愛称が「スターダスト」であることを思い出した。これは、「スター」ではない、星から零れ落ち、その煌めきに照らされ一瞬だけ輝き燃え尽きる星屑たちの戦争なのである。
決して出来の良い映画とは言えないし、スター・ウォーズのファンからはいろいろ批判もあるだろうが、しかし私にとっては大事な作品だ。
(2017/01/06 劇場にて鑑賞)
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