[コメント] マリッジ・ストーリー(2019/米)
ラスト近くになっても、スカーレット・ヨハンソンがアダム・ドライヴァーの髪の毛を切ってやる。あるいは、新居の停電(電気系統のトラブル)を助けに来るドライヴァー。ドライヴァーのスニーカーの紐を締めるヨハンソン。とても切ない。こういう映画がオスカーを取って欲しいと私は思う。
「やっぱり会話が必要だ」というところから会話が始まって、最後には怒鳴り合い、罵り合いになる。果ては、死を願っている、とまで云ってしまい、うずくまり泣き出す。この場面が多分ハイライトと見なされていて、オスカー授賞式のノミネート紹介なんかでも使われていたけれど、ちょっとこゝは、やり過ぎ。演劇的過ぎて臭い。こゝをもう少し抑制できていれば、もっと評価してもいい。
あと、ヨハンソン達姉妹と母親の三人で歌とダンスを披露するシーンと、それに呼応するように、ドライヴァーがバーでピアノ伴奏に合わせて一人「Being Alive」を歌い始め、熱唱になるシーン。これらの場面の挿入も満足感を高める。またウェストショットの照明がいいのだ。
そして、ヨハンソン側弁護士を演じるローラ・ダーンは確かに怪演だ。調査員対応で事前にヨハンソンが練習する場面がいい。「子供を罵ってはだめ。母親は父親と違って完璧を求められる、聖母マリアのイメージ。その時(イエスを産むとき等)、父親の神は一切姿を現さなかった。」とかなんとか。
#ダーンが登場してすぐのヨハンソンとの会話シーンで、二人、ソファに座って会話するカットバックになるのだが、ヨハンソンのリバースショットの左フレームギリギリに、ダーンの赤いハイヒールの靴(足を組んだ先)だけが映っているカットがあった。こういうテイクを残す、というのは珍しいが、あくまで良い芝居を優先させている、ということが分かる。
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