[コメント] ブルータル・ジャスティス(2018/米=カナダ)
ちょっと長尺過ぎるとは思うが、強烈に緊張感を維持する傑作犯罪映画だ。例えば、銃撃が全部簡潔だ。間延びした演出は行われない。
それに、銃を隠し持つ、というモチーフが何度も描かれるが、事前に手に持つ(手に取る)カットを見せておく、というのを律儀にやる。観客は、次の銃撃を予期しながら緊張感を持つことになる。
さて、隠す、隠し持つというモチーフが拳銃以外にも他にも多く現れる。これらの見せ方で面白さを持続している部分も大きいだろう。ちょっと思いつくまゝにあげると、まず、犯罪のターゲットになる金塊はもちろんのこと、二度ある隠し撮りのビデオ。冒頭の犯罪捜査シーンで、シャワーをかけた女に白状させる、クローゼットの奥のブツ。クローゼットは、上着のポケットのブツ、という使い方もされ、これも二度使われている。あるいは、赤ちゃんの靴下。食塩のビン。そして覆面。車の鍵!最後に車の水没と死体の埋葬。
あるいは、銀行強盗シーンの顛末も、ほとんど隠されており、メル・ギブソンとヴィンス・ヴォーンが、車を運転しながら玄関ドアからチラッと見えた、その見た目カットのみで示す、なんてところの簡潔さも私はいいと思う。それに、上に書いた、隠し撮りビデオについては、冒頭の市民による隠し撮りが、ギブソンとヴォーンの運命を変えたのであり、さらに、後半でもう一度隠し撮りされたことが、ギブソンの運命に決定的に影響を与えた、という二段構えの使い方。これを理屈っぽく見せないところが、よく出来ていると思うのだ。
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