[コメント] ゴジラvsビオランテ(1989/日)
ただし、この一本を除いては。
当時は、中一だった。オールドファンにとってのキンゴジ・モスゴジが、自分にとってはこの作品になる。そういった個人的な思い入れを排しても、言わずにいられないことがある。『×メガギラス』のレビューで、作品論的な観点から平成VSシリーズの失敗について私見を述べたけれども、シリーズの不運はこのビオゴジがまともに評価されなかった(未だにされていない)点にあると思っている。特に平成ガメラを評価するにあたってこの平成VSシリーズを引き合いに出すしか能がなかったエセ評論家たち。彼らの言い分は必ずと言っていいほど「平成ガメラは自衛隊の攻防と少女と怪獣のシンクロによって本編が充実していた」という言い分だったけれども、ちょっと待ってほしい――その点は、どう考えたってこの映画の影響を受けてのことだったはずだ。要はこの一本を黙殺しているか、ろくに見てもいないで語っているってことだ。初期のゴジラと平成ガメラだけで、他はいらないって意見もよく目にするのだけれども、作品の良し悪しに関わらず、『ゴジラVSキングギドラ』『ゴジラVSモスラ』が子供に受けなかったらガメラの企画自体が出てこなかったはずだ。たとえばの話、このビオランテの時代にギャオスだ、バラゴンだって企画が通ったか? 金子監督が平成ゴジラを必ずしも批判してこなかった理由がここにある。どの時代よりもきつい逆風の中で苦労したのが、このビオゴジだったのだ。当時の大人のファン達が昭和へのこだわりばかりで冷たい反応をしたのが、このゴジラにとっての最大の災難。自分の周囲じゃ、『バットマン』や『バック・トゥ・ザ・ヒューチャー2』や『ゴースト・バスターズ2』より評判が良かった。昭和ゴジラやそのファンがすべてじゃない。俺たちには俺たちの特撮があり、ゴジラがある。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (13 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。