[コメント] アラバマ物語(1962/米)
理想的な父親像だけど、妻に先立たれた中年(体型から想像)のグレゴリー・ペックってなんだか似合ってないんだな(笑)。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ほんとに、この映画のオープニングは素晴らしい。 私は特に、ちょこんとおかれた笛が、鳥のように見えて、あ、これがmockingbirdか、なんて思う。
白人社会の中にあっても、貧しく、教育も受けられない白人達がいる。 また、単に労働力として、人間としての権利をほとんど奪われた状態で、連れてこられた黒人達がいる。 タダ同然の労働力に仕事を奪われた白人達の不満と憎悪は、黒人へ向けられる。 白人からも黒人からもひたすら搾取を続ける社会のシステムは、あらかじめそのような構造を組み込むことによって、自分たちに直接怒りが向けられるのを防いでいるのだ。 人種差別は自然に発生するものでは決してない、個人の心の問題などではない。
たったひとり書類をまとめ、静かに法廷を去るアティカス(グレゴリー・ペック)の姿は、子供達の心に強く焼きつけられ、アティカスの退廷をじっと見守っていた人達に力を与えた。 再審請求をしようと、勇気を奮い立たせる人々、そして、トム・ロビンソン(ブロック・ピータース)の訃報を届けなければならなかったアティカスに唾するボブ(ジェームズ・アンダーソン)。 差別をなくすには、それが構造的な問題なんだと理解しなければ難しい。アティカスにはそれがわかっているから、この隣人をぶちのめすようなことはしなかったのだといえる。
最後に、これが映画デビューという、ロバート・デュバルの存在感に強く打たれる。
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