[コメント] ゲーム(1997/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まず、『セブン』に対する自分の評価を★1→★2に変更した。彼の語り口がこういうトリッキーなものを信条としているにであれば、そちらの作品も大変によくできたものだ、ということを認めるべき……とこれは素直に思った。
しかし、「『ゲーム』は★4だけれど『セブン』は★2」というのが、私の彼に対する最終評価で最後通牒になった。
彼にとってのバイオレンス、活劇、あるいは映画そのものというのは、人間の生き様死に様を超えて、生殺与奪権をフリーハンドで操るところにあるのかもしれない。しかし、この作品では誰も死んではいない。全てはフェイクの血糊と、空砲の硝煙の延長線上にある上質なフィクションだ。それなら、希代の語り部、映画のトリックスターに対して、★4をつけることは惜しくもなんともない。
でも、あくまで『セブン』は★2。あの作品では、人間の生き死にを掌に弄んでいたような気がしてしかたがない。それがあのとき感じた後味の悪さなんだろうし、こちらを見終わったときにその意図についてある種の理解もできたけれども、全体としては重苦しさは増してしまった。
そして今さら『エイリアン3』が彼の作品だったことを思い返す。やはり彼は人の命を軽々しく扱い過ぎる。重厚に、あるいは精緻に複雑に描写したところで、生死そのものを安易にいじくり回しているように思えてしまう。
映画的な表現技法や、作品をまとめる豪快な手腕に、彼が卓越していることは事実。ただただ脱帽。
でも、もう彼の作品を見ることはないだろう。私にとっては、とっても効果があるけれど、副作用がきつすぎる薬。見事にハメられてしまう私は、ある意味では彼と波長があうのかもしれない。でも、酔わせてもらうなら心地よい方がいい。酒に酔うのと船酔いは……やっぱり違う。
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