[コメント] 鉄塔武蔵野線(1997/日)
子供の頃、学校から石を蹴って歩いたことはないだろうか。石ひとつを蹴って家までたどり着いたとき、なぜかその石が宝物のように愛おしく感じたものである。
あるいは、次の電柱まで息を止めて歩こうなどと、たわいもない一人遊びをしながら帰ったことはないだろうか。達成できたとき、なぜか一人で悦に入ったりしたものだ。
この映画は、そんな子供の頃の遊び心を思い出させてくれるネタがあちこちに織り込まれている。
子供の持つ世界は、大人の定規で測る「規模」としては小さくても、そこに付加される想像の深さは計り知れず、広大である。そう、学校から少し寄り道すれば、そこは冒険の始まりだったんだった。映画には、そんな子供目線で見た壮大なファンタジーの世界が描かれている。演技する子供をじゃましない、とてもシンプルな演出で。だから観ている私も、何時の間にか、その世界に引き込まれていた。
物語的には、少々衝撃的な部分もあるけれど、全体的に抑えた語り口である。主人公の子供の淡々とした演技も良い。
お金をかけて時間かけで地球の裏側に行ってもなかなか冒険心を満足させられなくなってしまった大人にとっては、本当に贅沢な映画である。
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蛇足コメント1
告白。私が小学生の頃の話。今日こそドラえもんがウチに来ているに違いないと期待しながら学校から毎日帰っていた。
蛇足コメント2
中学生の頃の話。映画と全く関係ないが、JR武蔵野線が、私の住む千葉県の海沿いの地域から当時の私には未知の世界だった埼玉や八王子の方まで延々と走っていることを知り、初乗り運賃で意味も無く往復してきたことがある。
・・・とか、そんなことを思い出した。
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