[コメント] 時計じかけのオレンジ(1971/英)
5回まで観たの覚えているんですけど、それ以上は覚えてないです。 冒頭のアレックス君の「おれがいた」のシーンだけでゾクゾクっと…。
外見はただのちっぽけな害のないオレンジ。オレンジとして放っておけば何も害はなく、社会という箱の中でじっとしているだけ。しかしその中身は複雑な時計仕掛け。皮の中で自分だけの甘美のメカニズムを作り出し、ひとたび無意識に、もしくは興味本位で皮を剥こうとする者には容赦なく鋭い歯車で襲い掛かり指を引きちぎる。タイトルからはそんなイメージを思い浮かべています。(原作読んだこと無いので勝手な解釈ですが、手塚治虫氏の短編「機械仕掛けのりんご」の挿絵を見てそう思ったのですが)
しかしついにアレックスというオレンジは皮を破り他のオレンジを潰すという見えざる一線を超えてしまったわけですね。バレてしまった機械仕掛け。食えねーわ迷惑はかける役立たずだわということで危険なオレンジは「腐ったミカン」の如く箱から放り出されてしまい、あとはご覧のとおり人工的なミキサー加工でぐぢゅぐぢゅのぼこぼこという顛末でございます。
現代においても見えざる皮と見えざる箱というものがあるわけで、他のオレンジに迷惑さえかけなければ何やってもいいという不文律がまかり通っております。しかし自分の果実だけでは飽き足らず、他のオレンジを侵食し潰してしまう…結構そんな安易な人も増えている気がします。知らないのですね。皮を破った途端に箱から放り出されるということを。そして箱の中の質の悪いオレンジが消えてくれることを皆が密かに願っているということを…。多少の犠牲はあっても彼が自滅してくれれば大助かりだと…。
ぐじゃぐじゃに潰された挙句、しぶとくオレンジジュースになって復活したアレックスですが、今度は人工甘味料をたっぷりと与えてもらえるという素晴らしい環境に辿り着きました!よかったねアレックスボーイ♪(合掌)
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