[コメント] 髪結いの亭主(1990/仏)
ただのおっぱい星人のオヤジかと思っていた。しかし、あそこまで純粋に女を愛せるなんて凄いオヤジでもある。仏版『愛のコリーダ』か?「バニラ風味のレモン」の謎とは?
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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人生って生まれた瞬間から「死」に向かって突き進んでいるだけだと考えると、何もかもがマイナス思考で人生の楽しさを享受できない。
楽しい事や哀しい事もあるだろうが、結局は日々「人生の時計の針」が残り少なくなっていくだけの事なのだ。
恋をして、永遠に愛されたい、相手の心の中でいつまでも美しい自分でありたいと願っても、それを現実は許さない。
老人ホームでただ死を待つだけの老人や、見る度に猫背になっていく常連客の背中を見るのは、至福の時間を過ごす二人にとって好ましい事ではなかった。
いや、男にとっては些細な事だったろう。なにしろ男は子供の頃からの理想の生活を手にしていたのだから。問題は女だ。なぜ女は死を選んだのか?老いていく自分が恐かったのか?老いた自分を男が愛さないと思ったのだろうか?
男は誰しもが「理想家」で、女は誰しもが「現実家」である。などとは決めつけない。しかし、女が死を選んだ事で、男の心の中には永遠に若く・美しい女の姿だけが刻み込まれるだろう。
この至福の時がいつか壊れる瞬間を迎えねばならないのならば、いっその事、永久に夢を見ないで眠る状態を選んで現実逃避をしてしまったのだ。
常連客が死について男に問うた時、男は「バニラ風味のレモン」だなと答えた。この言葉、哲学的なのか逆に意味が無いのか判らないが、女の自殺の動機はこの言葉に隠されているはずである。
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