[コメント] ゴッドファーザーPARTII(1974/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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1作目でマーロン=ブランド演じるヴィトーを主役に、そしてアル=パチーノ演じる若きマイケルが成り行きでもトップへの階段を駆け上がるストーリーを描いた後、ここではトップに登りつめたマイケルが古き時代に決別し、新しい時代を切り開こうと苦悩する様が描かれている。ヴィトーと異なり、アクティヴな感じのするマイケルの物語で、パチーノも格段に上手くなっているとは言え、これだけでは単純な似ただけの作品になってしまっただろう。「良い作品」と言われることがあっても、連続オスカーなど夢の又夢。しかしそれを実現したのは、話としての膨らみを持たせたのが過去の回想シーンだろう。続編で、1より話の規模が縮小しているのに、別種の魅力を見事に引き出している。
これを観て、続編の強みと言うものを考えさせられた。
続編ものは大概クズのような扱いを受ける。これは当然で、1作目にいくら雰囲気を似せようとも、超えられるわけはないから。衝撃は一度で良い。二度あると喜劇にしかならない。キャラクターの魅力で見せるのも自ずと限界がある。
だが、一方で続編には多くの魅力もある。大ヒットを受けて作られた作品だけに、ある程度の安心感があることやもう一度彼(彼女)に会いたい。と言うファン心理を叶えてくれること。ただ何より重要なのは、物語やキャラクターの背景を了解事項として描き出すことが出来ると言う点が最大の強みだろう。
この作品においてはマイケルがなぜこの若さでゴッド・ファーザーの地位にいられるのか、そして彼の置かれている緊張感ある状況が既に前提事項として現れている。視聴者はそれだけでなく、1の主人公ヴィトーとマイケルのゴッド・ファーザーとしての器の違いも頭に入っている。そこから始められるのは強み。
だから現在の物語とは全く異なるヴィトーの話が挿入されていても、違和感が感じられないどころか、今のマイケルの置かれている状況とも対比できる。
ピカレスク・ムービーでの面白さは成り上がりの過程にこそある。すっかり受けの立場に回ったマイケルではなく、若くアクティヴで、命を懸けて次々と成功をものにするヴィトーの姿が挿入されることによって、物語は実にメリハリがきいている。この挿入が絶妙で、3時間の長丁場が全然飽きない。デ・ニーロが又上手い。
それに、前作と較べてさえ、パチーノの格好良い事よ。頬に片手を当て、椅子にもたれ込む姿は見事に様になってる。
この作品は、映画には、続編だからこそ出来ることがあることを私に教えてくれた。本当に見事だ。
この作品の不満点を敢えて一つ。マイケルの回想シーンで、最後に自分が学生時代の回想があるのだが、そこに出てきて欲しかったな。マーロン=ブランドが。
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