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[コメント] セント・オブ・ウーマン 夢の香り(1992/米)

私はこれでアル・パチーノのトリコになった。生きる意欲と希望をもった第一歩は、さりげなく。。。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







今にいたるもアル・パチーノの最高傑作だと思う。

プライドが高く、それゆえに盲目の人生に絶望した元有能な軍人が、人生の最後を最高の贅沢で飾ろうとする。もはや生きる希望のない彼は、周囲のことなんか気にする必要もない。だから、一緒に同居している小さな女の子なんかは、じゃまくさいだけだし、悪態をつく対象でしかない。

そんなアル・パチーノクリス・オドネルと旅する中で、変わっていく。そしてこの若き友人を助けるために一肌脱ぎ、家へと帰りつく。

家に帰りついたアル・パチーノが、まず最初に小さな女の子に「仲良くしよう」と声をかけるシーンは、生きる意欲と希望をさりげなく示して印象的だった。

またアル・パチーノが、オドネルを擁護する演説シーンも感動的。ここでアル・パチーノは密告を奨励する者にたいして怒りをあらわにしている。

この前年、1991年にはデ・ニーロの『真実の瞬間<とき>』が公開され、ハリウッドにおいて「赤狩り」を問い直す風潮が出てきた。この映画では、それとして正面から取り上げることはしていないが、映画人同士を密告の嵐に叩き込んだ「赤狩り」への批判を念頭においていたからこそ、アル・パチーノの怒りは その密告を奨励する者に向けられたのでは、と感じられた。

それに見事なタンゴのシーン。ここではガブリエル・アンウォーが実に美しく華やかであった。オドネルが見とれるのも無理ないなあと思った。

他にもフェラーリを乗り回すシーンは迫力満点で、へたなアクション映画よりもスリルがあった。

(評価:★5)

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