[コメント] 踊る大捜査線 THE MOVIE(1998/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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徹底して「観客を楽しませよう」とする姿勢は好感が持てるし、テンポも良く、今の日本映画に最も求めたいことをちゃんとやってくれたと思う。そういう意味で高く評価したいし、こういう映画を指示したい。ただ、丁寧さを欠いてしまったところが結構目について残念だった。
まず、それぞれの人物の描写が浅い。TVである程度の知識があることを意識して、盛りだくさんにしても耐えうるとの判断だったのだろうか。レギュラー人は当然のごとくだが、特にギバちゃんが背負う背景が切実には伝わってこない。誘拐犯やその家庭、キョンキョンの人物描写も浅かったように思う。
キャリアと現場との対立は、ちょっと短絡的だ。そういったことは、日常業務で常にボディブローをくらい続けている根深いものだろう。本来署内に浸透しており、その方が問題視すべきだと思う。また、警視庁幹部の会議室の表現も、一面的で雑だった。彼らも同じ人だし、彼らなりの葛藤があるはずだ。これらは物語の本題に関わるところであり、丁寧に描いて貰いたかった。
そしてもう一つ。
クライマックス、みんなが敬礼し感動的だけど、その前にギバちゃんが青島刑事を運んでいくシーン。いくら必死でも、ちゃんとした応急措置もせずに、あの無理矢理な運び方はちょっと興ざめした。本人が運ぶ、運転していくのは良いけれど、本当に助けたければ、当たり前の措置や対応ぐらいさり気なくするべきだ。そういったきちんとした押さえがあってこそ、“オチ”も効果的だし、感動も沸いてくると思う。
好きな作品だけど、TVドラマが少し悪い方に影響したように思う。
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