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[コメント] 地球防衛軍(1957/日)

この作品を観直してみてなんか嬉しかった事…今私が住んでいる所はミステリアンの支配地域に入ってるという事実。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 続編の『宇宙大戦争』よりも結果として観るのが遅くなってしまった本作。出来そのものはちょっと期待はずれっぽかったけど、特撮技術、伊福部マーチや、様々な兵器のデザイン、非常に優れたミステリアンのスーツ等、見所も確かに多い。

 多くの良い部分を、しかしそれを生かし切れたかと言えば、少々疑問。

 ややコミカルなデザインを持つモゲラは(実は日本映画史上初の巨大ロボットでもある)最初何の対抗手段を持たない人間に対し、圧倒的な強さを持っていたのに、一旦撃退されてからと言うもの、ほとんど出番は無し(マーカライトファープを壊すために地中から現れてる描写はあるんだけど、相打ちで終わった)。

 それと、当初ミステリアンの提出した“ささやかな”要求をあっという間に蹴ってしまう防衛軍の描写も残念。交渉をするなり、それについてどう受けいれるかを相談するなりするシーンがあったら良かったと思う。どうせなら、ミステリアンの願いを妥当なものとして一旦申し出を受けて、それで後になって実はミステリアンの狙いは地球征服であったと後で気付き、闘志を燃やす。と言う描写にすればもっと映えたんだろうけど(かえってありきたり?)。エイリアンは全部インベーダーであり、撃退するしかない。と言う直球ストーリーが受けいれられるような世相だったのかな?

 後半のマーカライトファープとドームとの熱線の応酬は見栄えがするけど、それだって単調に延々と光線の応酬をしてるだけで、もう少し展開に彩りが欲しかった(当時の技術的には確かに素晴らしいんだけど)。

 これは過渡期の作品なんだ。と言うのが正直な感想。この作品に登場した魅力的な部分は確かに活かされてはいなかったが、これで培った技術が続編の『宇宙大戦争』に繋がったのだし、以降の特撮技術の進歩へと繋がっていったと考えるべきだろう。

 ところで、ミステリアンのリーダー役は土屋嘉男が演じているのだが、彼は続編の『宇宙大戦争』において、壮絶な殉死を遂げた岩村を演じている…と、するなら、あるいはミステリアンは実は滅んでいたわけではなく、ヘルメットを脱ぎ、地球人と同化していたのかも知れない。あるいはその専門知識を小出しにする事によって防衛軍の中核をなしていたとか…そう言うストーリーを考えてみるとなかなか楽しいものがある。

(評価:★3)

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