[コメント] アイズ ワイド シャット(1999/米)
貫禄の冗長。貫禄の支離滅裂。「巨匠の時代」のクロージングを飾る。
冒頭の豪邸でのパーティー・シークェンスと互いに嫉妬心を吐露し合う夫婦の会話シーンだけで凡そ一時間。この余裕たっぷりの尺の使い方。ハンガリー野郎にナンパされて踊るキッドマンの異常にスローな喋り方が官能をそそり、妖しいまで美しさを発揮する画面構成も完璧。
で、その後クルーズがおかしくなって彷徨い始めてからは、怪しげなキャラクタが次から次へと登場しては放置されるの繰り返し。面白過ぎる。件のお屋敷での仮面乱交パーティも恐ろしげである一方、その阿呆らしさが楽しい。
久々に再観賞したが、クルーズ&キッドマンという当代きってのスター夫妻の起用というポピュラリティはあるにせよ、このような作家性剥き出しのある意味滅茶苦茶な作品が商業ベースにしっかり乗ってしまうというのもキューブリックが最後だったのかな、という気がする。キューブリックの死とともに20世紀は終わり、同時に、映画における「巨匠の時代」も終焉を迎えたのだと今更ながら思い知らされる。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (5 人) | [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。