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[コメント] 白夜(1957/伊=仏)

 ビスコンティのミニマリズム。画面だってモノクロ。だから余計に登場人物(約)3人の心情だけが浮かび上がる。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 他のだいたいの作品においては、背景・セット・コスチュームに凝りまくり、それでもってその世界の人たちの心理を浮かび上がらせたビスコンティ。彼の作品中豪華なセットはフェイクだ。あくまで人間が主役だ。でも豪華さに目がくらむ。それが、この簡素さ。「人間だけを描いてみようじゃあないか!」っていうような気合いを感じてしまう。『夏の嵐』の次にこれでしょう?そりゃあ、びっくりするよ。

 内容も好き。原作は未読なので何とも言えないけれど、ほんとにおとぎ話に生きてるようなマリア・シェルのナタリア、おそらく『シェルブール〜』のギィ君のなれの果てであろう謎の下宿人、それと我らがお調子者マストロヤンニのマリオ。まあ、おとぎ話の住人のナタリアとマリオ君は一緒にはなれないだろうことはわかるんだけど、その心の移ろいの描かれ方がとても丁寧で共感もてる。下宿人の行動もいい。ばあちゃん連れてオペラかあ。それはデートって言うの?マリオ君がダンスに連れて行ったのと対照的。

 下宿人のジャン・マレーダーク・ボガードジェラール・フィリップだったらもっとマストロヤンニと見分けつかなくて楽しそうだなあって思うけど、それはちょっと違うか。

(評価:★5)

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