[コメント] さよなら子供たち(1987/独=仏)
無力ゆえの強さ
●映画の冒頭から、いきなり感傷的なピアノが響いてきた時には「泣かせる映画」の王道か?とげんなりしたところもあった。が、ナチス占領下のフランスを、決して大上段に構えて‘大きく’語らず、あくまでも子どもの視点から‘小さく’語ろうとするルイ・マルの倫理に心打たれた。けれど、だからといって、『さよなら、子供たち』のそのあまりに‘小さな’無力さが、戦争の‘大きさ’に対して風穴を開けることができるわけではないことをルイ・マルは痛いほどわかっている。泣いてみたところで悲劇は終わらないし、その涙は逆に悲劇を程のいいロマンスへ変えてしまうだけなのだから・・・。しかし、ラストのガスパール・マネッスの圧倒的な‘大きな’力を前にした絶望的な無力さを浮かべたクローズアップ・ショットには、この映画の‘小ささ’ゆえの強さを感じた。
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