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[コメント] 十三人の刺客(1963/日)

これは「動く忠臣蔵」だ! お膳立ては充分。ゾクゾクする展開だったが、肝腎の戦闘シーンの完成度が今ひとつだった。残念! ☆3.8点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
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忠臣蔵の面白さは吉良邸という「小さな城」を四十七士が如何に攻め落とすか、にある。その為に刺客は決行の日まで昼行灯に徹して雌伏し、スパイを放って城内部を調査したりする。この映画でもあともう少し術策のせめぎ合いが欲しかった。誰かが松平斉韶側にスパイとして入るとか。鬼頭半兵衛側がスパイを放って刺客の内部分裂を誘うとか。

今作では敵は「動く部隊」である。途端に「どこで討つか」という駆け引きも加わる。いわば「忠臣蔵+桶狭間」、あるいは「忠臣蔵+一ノ谷」か。見事な着想である。だから欲を言えば、「勝負は一回」とタメを作ったのも見事だが、一回位は誰かに暴発させて動く敵を急襲させたかった。それで「やはりコレでは駄目だ」と。まぁ最後には「待ち伏せ」に転じて『七人の侍』まで頂く訳だが。

武的には西村晃の居合道が頂点で、殺陣に気迫が足りなかったのが肩透かしで残念である。

しかし、これって発想は「2・26」なんだよな。義士が権力中枢の奸を討つ。忠臣蔵には「忠臣」の要素があったが、今回の刺客達はもっと高いところ<御正道>に拠ってる訳で。丹波哲郎という直接の天の声はある訳だけど、2・26の連中の心にもきっと聞こえていた訳で。対する内田良平は「悪法も法なり」を地で行く法の番人。そう考えるとこの正義の闘いも何とも苦い味がする。

(評価:★3)

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