[コメント] 十三人の刺客(1963/日)
討つ側、守る側、そのどちらもが「封建社会のシステム」に従って動いているという皮肉さ、虚しさ。獲物を失った獣の狼狽ぶり。実際に学生運動を経験した工藤栄一の冷めた“革命観”が、最後にカタルシスを期待していた観客を奈落の底に突き落とす。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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菅貫太郎の一世一代のバカ殿演技に尽きる。彼が暴虐非道な行為を繰り返すほどに、この君主を守らねばならない内田良平の虚しさを、より一層と高めてくれる。工藤栄一に見込まれて大抜擢された内田良平も、その期待に応えて、千恵蔵御大と見事に張り合ってみせる。
問題となるラスト。獲物(=菅貫太郎)を仕留めたという合図を聞いた西村晃は、急に意気地がなくなり醜態をさらす。観た時は「そりゃねえだろ!」とツッコミを入れたもんだが、一番強烈に覚えているエピソードがこのシーンだったりする。「どれだけ使命感を持った革命家だって、最終的には自分の命は惜しいものさ」という、学生時代には学生運動に関わってたこともあるらしい工藤栄一流の皮肉が込められている気がする。ラストシーンで響き渡る、発狂した男の高笑い。なんとも薄気味悪い後味。
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