[コメント] マルコヴィッチの穴(1999/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ジョン=マルコヴィッチといえば、それまでもいくつかの映画で彼のことは知っていたし、彼が性格俳優と言われているのも知っていた。だけど、この作品によって、私の中では彼の注目度は一気に跳ね上がってしまった。今や大好きな俳優の一人だ。
個人の内面の世界を描こうという試みは映画においてはこれまでも何度も行われてきた。特にダリはそう言う傾向をはっきりと打ち出して映画を撮っていたし、日本においては荒唐無稽をもって是とするアニメーションがその役割を担ってきた。広義に取るなら、『ミクロの決死圏』や『インナー・スペース』だって「人の内面」に入るわけだから、結構たくさんの作品が作られてきたんじゃないかな?
ただ、それをストレートでなく斜に構えて撮ったところにこの作品の特徴がある。ビルの中にある変な職場とか、芸術的なマリオネットの使い手であるが、コンプレックスの固まりである主人公役のキューザック、男も女もOKで、素直に自分の欲望に従う悪女役のキーナー。彼女に出会うことで自分が本当は同性愛者であることを自覚する主人公の妻ロッテ役のディアス。そして本人役で登場するチャーリー=シーンとか。そう言う小技が小気味よく決まっていて、映画を観ている間中不思議な感覚をずっと覚え続けていた。良いねえ。確かにこれは私の持論「快楽装置としての映画」そのものじゃないか。「衝撃」と呼べるものこそ感じられなかったとは言え、映画そのものには充分すぎるほど堪能できた。
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