[コメント] マルコヴィッチの穴(1999/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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そのために受け入れづらい人もいるみたい。「映画」という概念の中に組み込まれちゃってる先入観(タイプ)に適合しない形の物語構成だから。でも、脚本はよくできてると思う(設定は穴だらけだけど)。
一見、内容はかなり哲学的みたい。存在論的(?)に世界の中心は自己であり、他者にとっての世界の中心はその他者。だから、他者の視点を得ることは不可能。でも、この穴に入ればそれが可能。ってこと?でも、このことは最初にキューザックがちょっと触れただけで主題にはなってない。むしろ、《不死》が最終的に中心になってると思う。《自己の中のもう一人の自己》なんてのはマルコヴィッチの人格が無視されている時点で完全に無効化しているし。だから、実は哲学的な雰囲気にする必要はなかったと思う。
そういった点で、皆さんが指摘しているように、笑いが中途半端になったのだと思う。私も、とことんコメディーでいってもらいたかった。サルがトラウマを克服するところなんて秀逸だったのに。
あと、一部の人がラストを誤解しているようなので老婆心ながら指摘しておくと、老人たちはみんなマルコヴィッチの中に入って、その後、キューザックも、もう一度マルコヴィッチになろうと穴に入るが、日付が変わってキューザックは次の候補である女の子の中に入ってしまった(つまり、マルコヴィッチに入れるのは彼の44歳の誕生日までだから)。しかも、子供の中に入ってしまったので、操ることができずに一生その子の視点から世界を眺めることしかできない状態になってしまった。ということです。
まあ、この「子供の時に入ると操れない」っていうのは無理やりの設定って感じだけど。
しかし、マルコヴィッチの演技は素晴らしいですね。一番悲しいけど。
2001/6/12
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