[コメント] 第七の封印(1956/スウェーデン)
頭でっかちな映画。
僕は、ベルイマン監督作品では、この『第七の封印』が一番苦手だ。嫌いとか好きとか、そういう生理的レベルの苦手意識もあるが、何より、この作品には<迷い>が感じられない。あまりに「完成度」が高すぎると言ってもいい。
ベルイマン自ら「この映画は頭で作った」と語っているが、それは、この「完璧」と言ってもいい物語性あるいは寓話性、そして作品に盛り込まれた監督得意(偏愛?)のモティーフによる、確立され整理された純然たるメタファーの数々に、如実に表れている。一点の曇りも、一分の隙もない。
言い換えれば、それは、あまりに論理的過ぎて反駁の余地がない、極度に純化された語りの美しさ、と言ってもよい。そして、そこには、僕が映画に求める<沈黙>がない。
そういう意味で、この作品が「傑作」あるいは「名作」とラベル付けされることには異論はない。ただ、僕は映画を心で見たい。ならば、映画も心で語りかけてほしい。「曇り」のある、「隙」のある、心で。
[theater/date unknown‖video, reappraise/2.7.02]■[review:3.1.02up]
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