[コメント] 天井桟敷の人々(1945/仏)
主演のアルレッティは、実はこの時にドイツ高官の愛人的な立場にあり、戦後、犯罪者として追われ、数年映画には出演できませんでした。戦中のフランス映画界の抵抗、みたいに思われていますが、ドイツ擁護の下に作られた作品です。
別に、それがどうとかではなく、生きていくうえで自分を守るために最善をつくすのが世の常なのです。ただ、この作品が現在においてフランス映画界の対独抵抗の象徴みたいに扱われる事は、史実的に当時、輸入した際にアメリカが利用した宣伝文句なんでしょうね。 結局、戦時中なんておかしな状況なわけですし、ましてやドイツ側にも、こういった第七芸術に対しての理解者はいたであろうことは、この作品の存在で証明されていることです。作品としてはすごく内容の深く、すばらしいものであることは自他共に認めることができるのですが、情報操作的な部分で、別格化されるのはすこし違うのではないかとも思えるのです。こういったことを知った上でも、この作品の価値はなんら変化することはないと思いますしね。ただ、私が思うのは、戦時という異常な状況の中で、フランス側にもドイツ側にも、この作品を完成させようとした情熱があったことに、奇跡をみるのです。あからさまな敗戦国批判は気持ちの良いものではないのです。
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