[コメント] 自転車吐息(1990/日)
10代の頃にこの映画と出会えた幸せ。グレイトリッチーズの「薔薇が咲いた」が胸につきささる。
何度も見に行っては、何度も泣いた。
私もあの牛乳の白線をたどってどこまでも歩いていくんだわ、もうそれしかないんだわと、一緒に「薔薇が咲いた」を口ずさみながら考えてた。
そこにジャクソン・ポロックが立っていたように、私の前には史郎が立ってた。そして、「俺」という旗をもって疾走するということのカッコ悪さとカッコよさを教えてくれた。
その瞬間、私の中の薔薇も咲いたの。
あんずよ花つけ 地ぞ早やに輝け あんずよ花つけ あんずよ燃えよ ああ あんずよ花つけ
「小景異情」のその六が大好きだった私は、園子温という青年に、中也よりも犀星を見たわ。そしてそれは、もう、若さゆえの熱病で、熱狂で、それ以外の何ものでもなかったの。
映画を好きになったり愛おしいと思ったことはそれまでにもあったけれど、たちまち恋におちたのは、これが最初で最後だったの。
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