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[コメント] 荒野の七人(1960/米)

私にとって最も残念だったのは、『七人の侍』より先にこれを観てしまったと言う事。無理をしてもこっちは後で観るべきでした。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 要するに『七人の侍』の西部劇版。監督は黒澤の心酔者らしく、実によくコピーしたものだ。薪割ってるところまで再現してるなんて(笑)。ストーリーに関しては結構良かったが、それもオリジナルの良さがあってのこと。

 ただ、コピーだけあって、相当な矛盾も生じている。『七人の侍』での最大の見所は殺陣とかストーリーではなく、士農工商の武家社会にあって農民が武士を雇うと言う設定にこそある(勿論それ以外にも素晴らしいもの満載だけど)。そう言う意味で言うならば、本作は設定の最初から破綻していたとさえも言えるだろう。身分制度の無いアメリカではせいぜい「貧乏」なくらいしか表現のしようがない。表現不可能なのだ。

 しかし、それが逆に妙な結果を生んだ。ガンマン達が実にスムーズに町にとけ込むことが出来たのだ。『七人の侍』ではその矛盾を説明するためにこそ映画の実に半分が用いられたのに対し、それが必要ないため、純粋にアクション映画にすることが可能になった。

 黒澤映画の本来のテーマを無視することによって、アクション作品としては間違いなく良作に仕上がっている。オリジナルでは悲恋に終わる恋物語もちゃんと成就してるし(身分制度がないから別に結婚しようと何しようと彼は自由だというところが特徴)。

(評価:★3)

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