[コメント] あの頃ペニー・レインと(2000/米)
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彼女はその電話を、ガチャン!と切ってもよかった。 私なら、きっとそんなことしかできなかったはず。 でも、ペニー(ケイト・ハドソン)が、メモを取り出したとき、あ!っと思っている間に、私としてはメロメロに大好きなタイプのエンディングが、優しく私を包み込んだ。 15歳にしてはちょっと説教クサ過ぎない? って思っちゃうウィリアム(パトリック・フィジット)の最後のひとことに、監督がこの映画でやりたかったことが”ゴリ”って立ち上がったような気がした。 なんだか嬉しかった。
天敵って、天敵じゃないんだよね。 ”商業主義の申し子”っていわれれば、確かにそうかも。そして、ウィリアムみたいな賢い子じゃなかったとも私は想像する。 でも、監督は、きちんと総括したかった。あの頃、俺は何を見ていた? で、今の俺は...って。 このような習性を持つのは、ジャーナリストに限らないけれども。なんとなく、この監督の几帳面さを垣間見る気がするのだった。
女に対する恐怖や、無知さや、なにか、あのモヤモヤ感は、とてもよく出ていたように思う。 あれは、演出というより、監督は、今でもきっとそうなんじゃないかと。そんな気もしたし。母親や、姉への愛情と尊敬があふれている。 レスター・バングス(フィリップ・セイモア・ホフマン)が時折登場して、新人ライターにアドバイスを与えるけれど、これが、監督自身でもあり、彼に苦言をくれた先輩だったのかもしれない。 締め切り迫るある日、ドアの前で涙ぐんで座り込む少年。あれは、確かに監督だったのだろう。
”音楽の何がすきなの?”ってきかれたらわたし、その頃なら”I don't know!”って答えていたかもしれない。好きかどうかもあやしかったかもしれない。 それなのに、昔の録音と、今の録音を聴きくらべると、あの頃の勢いが、ない。それって、きっともう、取り戻せない。 だけど今、ふと、それでも何かしら自己表現しようとあがいているお調子者の自分がいて、それを苦笑いしながら、自分で見つめてるって感じるとき、心に満ちてくる安らぎは、どうにも捨てがたい。 生きるってこういう事なんじゃないかと、思ったりする。
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