[コメント] 女は二度生まれる(1961/日)
「男は一度しか生まれない」という揶揄でもある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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まるで成瀬の『女が階段を上がる時』(前年公開)のパロディのようだ。悩める凸ちゃんに対して悩まない若尾文子。心理的な説明は徹底して捨象されてある。物語の脈絡を無視して方々によろめき続ける件が何度も続くと、恐ろしさが湧き上がってくる。確かにこれは『しとやかな獣』のバリエーションである。
「女は二度生まれる。はじめは女として、二度目は人間として」という本作の宣伝文句はボーヴォワールをひっくり返しているのだが、軽視してよいと思う。この作品は山村聰の死を通じてこえんちゃんが女から人間になる成長物語である、と纏めると全然面白くない(潮万太郎にも身を預ければ話は過激度を増しただろうに、拒絶する辺りから話が纏めに入るのが残念ではある)。私としては、最初から最後まで何も成長などせず、ただ女であり続けているこえんちゃんを印象に留めたいと思う。
だから山の駅でひとり佇むラストも、故郷へ帰るのだと発言通りに解してはよろしくないだろう。フランキー堺を追いかけるのかも知れないし、はたまた女狐に戻るのかも知れない。ここでも心理描写を省く徹底ぶりが素晴らしい。印象に残るラストシーンだった。
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