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[コメント] アクシデンタル・スパイ(2001/香港)

こんな事は言いたくない。言いたくないが、敢えて問いたい。あの頃の俺達がそうだった様に、今のジャッキーに、今の子供達が惚れるだろうか?
kiona

明らかに剽窃ながら、本家を易々と越えるスタントには目を見張るも、売りがそれだけであることが何とも寂しい。ストーリーが駄目?その通りなのだが、それ以上に、ジャッキーの役所に魅力が皆無なのが、何ともやりきれないのだ。

ジャッキー自身は、演技力が相応に円熟し、微妙な陰をも表現して見せるなり、体全体から大人の魅力を発散しているにも関わらず、しかし、主人公の感情はぶつ切り状態で、感情移入しようと思うとはぐらかされる。ストーリーが、ハリウッド調の大袈裟なスタントを用意するための破綻に開き直り、主人公の感情をも圧迫しているからだ。

ちなみに、ガキだった自分の目に、最も強烈に焼き付いたシーンは、『ポリス・ストーリー 香港国際警察』のラスト・カットだった。相手を叩きのめした後、制止されながらも、まだ相手に向かおうとするジャッキー。悪党どもに対する収まらない怒りを、体中から発散させていたわけだが、その裏には、犠牲になった人々への哀悼があった。それは正義を語るに憚らない、一貫した魂だった。

この映画では、いったい何人がハリウッド大作調の軽い死を迎えたことだろう?その背景には、主人公の曖昧な行動と心理があからさまに介在したわけだが、そんな主人公が、タンクローリーから決死の救出劇を演じて見せたって、急斜面を壮絶に転げて見せたって、本当に伝えるべきものを、一番伝えなければならない子供達に、伝えることができたのだろうか?

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)りかちゅ[*] IN4MATION[*] アルシュ[*] ごう ペンクロフ[*] ざいあす[*] ガンダルフ けにろん[*]

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