[コメント] スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃(2002/米)
このシリーズの「戦争」が、順を追うごとに詰まらなくなってゆく理由が判るように感じる。顔を出して闘っているのは高貴な人間だけだ。なぎ倒されてゆく下っ端はCGで描かれたオモチャに過ぎない。かくて、見事にカタルシスも悲惨さもない戦争は続行されてゆく。
ジェダイ騎士は全宇宙を数十人で取り仕切っているらしい。それに立ち向かう軍勢はすべて脆弱で簡単に破壊されるドロイドだ。
「スターウォーズ」の新シリーズはこのようにして血も飛ばず、腕や脚がもげても痛みが観客に伝わらない滅菌状態のバトルフィールドで幕を切って落とされた。そして、今回恐らく旧シリーズで「ストームトルーパー」と呼ばれたクローン兵士たちが誕生するに至ったワケだが、彼らもまたひとり残らず仮面の男たちだ。その戦いに、その死にシンパシーは全く感じられない。
クローン兵士とはいい口実をひねくり出したものだ。全ての兵士が同じ顔では異様だから、仮面をかぶるコトを観客に許してもらえる。情けないドロイド兵の戦争ごっこよりは幾分マシだが、彼らの陸戦はおよそ迫力というものを知らない。アメリカ人はこうして、子供のときから大義に燃えるジェダイの顔のみを印象に留めながら、やがて成長し一糸乱れぬクローンのごとき兵士に育てられてゆくのか?
およそ一片の毒気もない戦争映画などに魅力はない。まして、ルークたちの世代に話を繋げるための説明に終始した今回の映画は、ロマンティシズムもない凡庸な恋愛模様も含めて正直、無味乾燥そのものであった。
CGを愉しむためのBGVにこそふさわしいとは思うが。
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