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[コメント] ターミネーター3(2003/米)

作り手の作品に対する愛情の無い映画に観る価値は無い。だが監督にだけ作品に対する愛情があっても作品は成立しないらしい。
ごう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ジョナサン・モストウは頑張った。シナリオもよく出来ているかな。『ターミネーター』で無ければ。ん、待てよ。前作を踏襲した上での本作である以上不満が残ったってことはやっぱシナリオはダメだったのか?いやそうじゃない。シナリオじゃなくて、そもそも『ターミネーター』の続編を作ったことが間違いなのだ。ラストの落とし所はそこしかないと思うけど、あんな風に落とされてもカタルシスは少ないわな。

ツッコミどころは満載ですよ。あのネェチャンロボなんて存在自体変でしょ。T-1000で無くなった骨格復活しちゃってるし、そもそも「対ターミネーター用ターミネーター」なら人間の形してる必要ないじゃん。おまけに2つめの装備武器が火炎放射器ってアンタ。あのぅ、僕等でも火炎ごときでターミネーターが死なないこと知ってるんですけど。

ジョナサン・モストウはターミネーターシリーズの熱烈なファンらしい。「地球の危機を救うと言う壮大な話なのに、最終的に家族愛などミニマムな視点に落ち着き、そこを丁寧に描いてる」からと言うことだが、確かにオマージュとも言えるシーン満載。それどころかセルフパロディまで披露してくれる。わざわざクレア・デーンズを動物病院の医者に設定するなんてどう考えてもターミネーター接近時に犬に吠えさせる為だし、序盤で車を奪うシュワが運転席の上のサンシェードを覗くシーンなども過去の出来事を学習したのだなと言うことを見せている。

だがしかし、彼は一つ大きな点を見逃していた。それこそがこのシリーズを人気作にしてきた所以だと思うのに。それは、

「ターミネーターシリーズは毎回観客に新しい物を見せてきた」

と言う点だ。『ターミネーター』ではターミネーター=アーノルド・シュワルツェネッガーと言う強烈な存在そのものを我々に知らしめてくれた。『ターミネーター2』では液状ターミネーターであるT-1000と言う存在をもって当時最新の視覚効果を見せてくれた。残念なことに今回はそれが無い。あのネェチャンはシュワどころかR・パトリックの足もとにも及ばないし、カーチェイスのシーンにしても実写でと言う監督の意気込みはわかるが、観客にとっては好みの差こそあれ『マトリックス』の方が単純にインパクトを与えるであろう。それに内容はともかく実写だけであれば『ソードフィッシュ』なんてのが過去にあった。

繰り返しになるがジョナサン・モストウは頑張ったと思う。しかし本当にターミネーターシリーズを愛しているのであれば続編は作るべきではなかったのではないか。「他の奴に下らないものを作られるくらいなら俺が…」という気持ちがあったのかもしれないが、少なくともこの企画を立ち上げた人達に彼ほどの愛情が無かったことに気付いて欲しかったと思う。奴等は絶対ろくでもない続編も考えてるぜ。

最後に、ジョン・コナーは映画の中でプチジャンキーだったが、それならそのままエドワード・ファーロングでよかったじゃん。役作りいらねーし。

(評価:★2)

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