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[コメント] ゴスフォード・パーク(2001/英=米=独=伊)

華麗なる30年代のカントリーハウスを舞台に錯綜するエピソードをウィット&ユーモアを交えながらブラックに紡ぎ、ラストには一つに繋がる。アガサ・クリスティーに再会した気分に浸れるはず。粋でミステリアスなひと時を熱いお茶と共に召し上がれ。
TOBBY

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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群像劇を撮らせたらアルトマンに適うものは無いと思うけれど、彼の作品の中でも本作は出色の出来映え。揺れる部分もなく散らばってるかのように見えてきちっとラストまで物語が真っすぐ突き進むのが見事(たいていの群像劇は余計なエピソードやあれはどうなっちゃたの?というエピソードや最終的に「?」で終わる場合が多々ある)。さらに流麗な映像と華麗なコスチュームに加え個性的な登場人物たちが映画ファンのハートを鷲掴みにする。群像劇故、多くの人物が登場するのは当然だけれど、一人一人がきちっと設定が活きていて観客に印象づけるのが凄い。貴族サイドと従者サイドの演技合戦は観ていて本当に楽しい。オスカーノミネーションを受けたミレンスミスは当然だが、料理長のアトキンス、2面性が興味深いオーウェン、マニッシュなスタイルが美しいスコット・トーマス、コスチュームプレイはいつも違和感の無いノーサムらも印象深い。演技派のワトソンは今回も気を吐いているが彼女の一言で緊張感が走るディナー・シーンは圧巻!。基本的に登場人物たちは、下心があったり、意地悪だったり曲者が多いけれど当時の人物達らしくきちっと品位を失わない彼等の演技に注目。狂言まわしにまわったマクドナルドフィリップスら若手勢は役得な印象。唯一の大根は力み過ぎのウィルビー辺りか?。とにかく退屈させずに心地よいテンポでラストまで魅せきってしまう監督の手腕に、ただただ脱帽。日本もこれくらい軽快で機微を描いたミステリー作品撮って欲しい。

「市販のマーマレードだわ!許せない手抜きね」byスミス

(評価:★5)

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