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[コメント] パリ、テキサス(1984/独=仏)

心がヒリヒリするような言葉=パリ(ス)、テキサス

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







●「言葉のない所へ行きたかった」。そうトラヴィスは思い、テキサスの「広く深い」荒野をめぐる。しかし、光の反射によって見え隠れする鏡を間にして語り合うトラヴィスとジェーンは、それまでの空白を一気に塗り込めていくように、多くの言葉を交し合う。そして、その視線も、物理的には決して交差していないにもかかわらず、想像上でふたりの視線は交わされていた(距離を越えていた・・・・・ヴェンダースがドイツとアメリカの距離を越えたように?)。離れていた4年間も、「どこにいてもあなたと話していた」と語るジェーン。だが、あくまでもそれは、想像上の<距離の越境>であって、現実の4年という空白はトラヴィスにとっては、計り知れない「距離」として残されたままであった。ラストシーンの、母と息子の抱擁は、ぼくの目には、想像の果てで、ジェーンとトラヴィスが抱き合っているように見えた。「もう一度やり直そう」。そのたった一言の「距離」=言葉。そして、Life goes on・・・・。

●『パリ、テキサス』は、ライ・クーダーの音楽に引っ張られているようだった。音楽のような映画ではなく、むしろ映画のような音楽。ミュージック・クリップとは、この映画のことなのかもしれない。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)おーい粗茶[*] じぇる sawa:38[*] ろびんますく[*] あき♪[*] 立秋[*]

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