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[コメント] マイノリティ・リポート(2002/米)

「ビッグブラザー」な世界で繰り広げられる、そうそうたる面々の「ミステリー作家」の名を借りた「謎解き」。収斂される謎解きは緩慢。
カフカのすあま

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「ビッグブラザー」なシステム(というか、映像的には HAL のような「瞳の光彩読み取り器」に代表される管理社会)が舞台。しかも、将来起きることをあらかじめ予知して、<これから起きる(かもしれない)こと>を<起きないようにする>という「プリクライム」の警察官が主役。しかし、その警官じたいが犯罪を犯すことが予想されてしまう…。

もう、聞くだけでワクワクしてしまう設定。

なので、管理社会の機微やら、陰謀説やら、「ニュータイプ」が描かれた前半から中盤、私はぐぐぐいっと引き込まれました。ら、結局これらは「謎解き」の前置きであることが判明。「巨悪」が姿を見せてしまってからは白けた。

「姿が見えないものに管理される」から「怖い」ものを、その巨悪の根元を明らかにしてしまうことで、「安心できる悪」に結論してしまう。「陰謀説」程度では放置できず、すべてを「謎解」いて答えを求め、おのれの恐怖を克服してしまおうとするところが、とことん二次元的(善悪二分論)で「わたしの嫌いなアメリカ」。

謎解きに陥らなければ、ものすごいコワイ映画になれたと思う。

おまけに、私が行ったシネコンでは、「ペプ死」4連チャン広告が映画上映前にあった。これぞまさに前兆というか予兆というか。すでに触れておられる方もいるように本編は「スポンサーの嵐」。

この映画を観たのは近所のショッピングセンターの中にあるシネコン。シネコンの回りにはアメリカを代表する、巨大国際企業のチェーン店が建ち並ぶ。マクドナルド、KFC、Staples、ピザハット、他にも国内の大手チェーン。もはや、中規模以上の街ならば、どこにいっても見かけられる郊外ショッピングエリアの光景。日本全国はいうまでもなく、アメリカ本土も、イギリスだって郊外はどこもこんな感じ。

ああ、恐ろしい。

でも、謎解き前のエンターテインメントには脱帽。たいへんワクワクさせてもらいました。

(評価:★3)

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