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[コメント] ダ・ヴィンチ・コード(2006/米)

原作を、よくぞコンパクトに上手にまとめたねぇという第一印象。誉めてるのじゃなく、むしろガッカリした。原作ものを映像化する場合、映画なりの解釈が必要。本作は原作のモチーフにある歴史の不可解さが薄れ、かわりにエンターテイメント感がアップしてしまっている。ハンクスの見せ場のなさ、存在感の無さに衝撃。
TOBBY

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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原作には主人公はハリソン・フォード似とあるが、最初から同じ系譜のリチャード・ギアあたりにキャスティングしていたらマッチしていたのに!。ギアは演技にしつこさとか変に自己主張が無いので邪魔にならず、逆に映画を持たせる華やかさやアクセントには非常に便利な役者なのに!。起用されたハンクスは実直で人間臭い役柄が多く(実際、その手の演技で真価を発揮する)ので、今回のようにカリスマ伴う華麗な学者というイメージがまるで似合わないばかりか、本人も作品の中で個性を出し切れず所在なげで見ていて気の毒に思えるほどだった。前半は期待していなかったトトゥが切れのあるシャープな演技で、ハンクスを軽く超えた存在感をアピールし好演。中盤は原作と異なる印象ながら、サー・マッケラン演じるリーの登場で、彼の的確に役柄を把握した余裕の演技にハンクスは完璧に色褪せてしまうのであった。さらに孤高の殺人者シラス(ベタニー)や銀行員らサポーティングアクターも存在感を発揮するので、すっかりハンクスは精彩を欠いていた。…ウェイトダウンが覇気を奪った感もあり。

脚色は、映像化する際にスピード感にのせてエピソードはどんどん端折るので全体に薄味になったばかりか、主人公二人が原作以上に異様に勘が良く、物語を転じさせる為とはいえ次々難問は説くし、危機は脱するしで、お子さま向けの設定に。…。クリプテックスから、手も動かさず、いつの間にかパピルス取れてました〜のシーンはあんまり。

一応評価できるのは実際に映像でルーブルの絵画や古城を次々に観客に伝える手腕と、主人公の頭の中のイマジネーションや、過去の歴史を上手に映像化していた点。 それにしても原作が基本的に大衆的な匂いの薫るミステリーではあったものの、ここまでエンターテイメント作品になってしまうとは!。カンヌでの失笑は納得。

ちなみに原作を読んでから観ると歯応えの無さに拍子抜けし、映画を観てから原作を読んでも深味は無いので微妙ではあるが、やはり、いきなり予備知識なしで映画を観た方が、あっけらかんと楽しめるだろう。とにかく本作の収穫は原作とイメージは異なるもののガーリーな女優だと思い込んでいたトトゥの華奢ながら際立つ存在感と、けれん味の無い素直な芝居。彼女が本作をかなり救ってくれている。ハンクスと、途中で真剣に演技するのを破棄したっぽいレノには深〜く見習ってほしい。

おまけ:原作読んで時が経ってたので素直に映画が楽しめるかもと思ってる矢先に偶然、見てしまった「ふしぎ発見」でほとんどネタばれ状態に驚愕!。おかげでマッケランが解説するシーンでいちいち、クリスタルひとし君が頭を過り嫌になった。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)けにろん[*] トシ リア[*] まりな くたー[*] Keita[*] IN4MATION[*] すやすや[*]

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