コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 火垂るの墓(1988/日)

始まってから3分で泣いてしまう映画はこの映画のみ。
m

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







わたしゃ自分の子供が(偶然にも兄妹ですが)あんな境遇に陥ったらと思うだけで、もう駄目です。ティッシュが一箱終わりそうです。そして考えたくないのだけれど、もし自分の子供らが・・・と考えると、まず責めるのは子供を置いて死んでしまった自分自身です。でも、わたしはお兄ちゃんを責めません。責めるわけないです。むしろ辛いのに一人でよく頑張ったよね、と言ってあげるでしょう。

わたしが責めるのは「戦争というもの」なんです。皆他人の事なんて構っていられない、例え小さな子供に対しても。 そんな風に人間を変えてしまう、変わらなくては皆生きていけない「戦争」を憎みます。これ以上に辛い体験をして死んでしまった幼い子供たちは数え切れないほどいるのでしょう。だから「こんなことが当たり前だったんだよ」と子供たちに伝えるべきではないでしょうか。それを伝える事はとても大切な事だと思うのです。

だから戦争を知らない世代(自分も含む)に、そんな「戦争の時代」があったことを伝える手段として優れた映画だと思います。14歳やそこらじゃまだまだ子供です。現代の14歳があの立場だったら、と考えてみるとよく分かります。その現代の子供たちがこの映画を観て、ここから何か学ぶことが出来ればいいのではないでしょうか。

それにしても、叔母さんは同じ子を持つ親としてもあまりにも冷たすぎやしないかな。彼女の言っている事はもっともかもしれないし、兄が頭を下げていれば何もかも上手くいったのかもしれません。でもだからと言ってあの叔母さんの態度はあまりにも非人道的ではないでしょうか・・いくらなんでも。  それに、わたしには叔母さんが「もったいないから二人の食事にはご飯は少なく」としか見えないのです。ただ二人が邪魔だったから、可愛くなかったから、「他の親戚を当たれ」なんて事を平気で言うし、二人が出て行くといっても何とも思わなかったのではないかな。 彼女こそ、自分のことしか考えていない酷い人間じゃないのかな。  ・・・戦争時に限らず、きっとどこにでもいるのです、こういう人は。そういう人間だって世の中には沢山いるんだってことも、それに対して自分がどう接していくかということも、子供たちがここから学ぶことが出来れば、それもまた良いことだと思います。

多くの観客に「もう二度と観たくない」と思わせるようなこの映画は、究極の反戦映画だと思っています。戦争に対する人間の感覚もそうであって欲しいから。どの国の人間にとってもそうであって欲しいと願います。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (7 人)新人王赤星 pom curuze ボイス母[*] peacefullife[*] けにろん[*] kazby[*] シーチキン[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。