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[コメント] キサラギ(2007/日)

何かに“心酔”する「マニア」な文化があってこそ、この作品には価値がある。飛躍しまくる脚本に戸惑うどころか“心酔”してしまったのは、あの天国に近い空間に引き込まれた証だろう。推理劇としても唸らされ、絶妙なファン心理にも唸らされ…
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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コメディタッチを含んだミステリのジャンルに「コージーミステリ」があるが、観る者にとってはそんな印象を抱かせるとても巧い作品だった。コージーミステリも定義が曖昧で、人によっては本格と異なって価値のないものだったりする。しかし私にとっては「本格」「ハートフル」「人間ドラマ」の全てを含んだ素晴らしいコージーミステリムービーだった(たぶん映画にはそんなジャンルは存在しない…)。本当に劇中はクスクス笑ってしまったし、飛躍する展開に唸り、そして単純なところで「熱狂(心酔)する気持ちって良いなぁ」としみじみと感動してしまった。

原点は、あくまでもオフ会である。たぶん日本特有(もしくは最先端をゆく)の文化だ。ネット上でしか面識のない5人が一堂に会すイベントそのものを描いた作品としての面白さもまた原点だ。すると、その5人・5ピースのパズルがはじける。ファンだったものが、ファンではなくなるという少なからずショッキングな展開。そして、1人ずつ真相を吐き出しながら、やがて信じられない結論にたどり着く。鑑賞する者にとってファンではなくなったものが、また「ファン」として原点に回帰する瞬間。5人のパズルが再びできあがったのだ。

完成したパズルが「如月ミキ」、彼女の人物像。そういう見方もできる。あくまでも5人から見た彼女の姿。

(評価:★5)

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