昨今のリメイクブームの中で、成功したものはほとんど無いのに、なぜこうもリメイク企画が多いのか。『ポセイドン・アドベンチャー』→『ポセイドン』しかり、『オーメン』→『オーメン』しかり。それでも見てしまうのが映画ファンというもの。

オリジナルの’７３年版を敬愛する者としては、今回のリメイクに望む姿勢が固いのは仕方ないだろう。従って、感想も辛口なものである。

そもそも主役をはき違えている。『日本沈没』の主役は、悲劇的な運命に引き裂かれる恋人ではない。断末魔の叫びと共に沈んでいく日本列島そのものが主役でなければならない。特撮こそが、この映画の主人公であるはずなのだ。日本映画お定まりのステレオタイプな人間ドラマは不要である。

熱い前作『ローレライ』を撮った樋口監督なら分かってくれると思ったのだが・・・。残念でならない。