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[コメント] 少年(1969/日)

タイトルバックに続き、行く先々の街にやたらヒノマルが出てきてニッポンファッキンメーンと絶好調で煽ってくる。とても元気で素晴らしい。70年代生まれの自分には、「ウルトラマン」の背景と同じ60年代の街並みは魅力的だ。
ペンクロフ

あんまり大島渚作品を観てこなかったんですが(戦メリと愛の亡霊ぐらい)『少年』を観て、役者の芝居にまるっきり期待してない人じゃないのかなと思った。プロはそれなりに器用にやれ、子役や素人は下手な芝居するな、を徹底しているように見える。絶妙な顔の少年を配役したんだからその顔を、目つきをただ見てくれればいい。セリフなんか棒読みでいい。主役の少年の横にもっとコントロールのきかない幼児(異母弟)を置くことで、下手な芝居を剥ぎとっているように見えた。役者をアテにしないのは、ヒッチコックもそうだった。いい配役をすれば、もう仕事はほとんど終わったようなもんだ(言いすぎ)。

早口強制で役者に下手な芝居をさせなかった『シン・ゴジラ』を観たのがきっかけのひとつなんだがわたくしはここ数年、役者に「演技力」などというパラメータみたいなものは存在しないのではないか、としばしば考えるようになった。映画は握力計にあらず、演技力なんて計測できるもんじゃない。演技とはその映画その場面において適切なふるまいをしてるか、否か、それだけのような気がしている。そこは役者以上に、監督がコントロールする領分だ。

この映画は日の丸こそディスるものの、少年には寄り添ってるようでもあり、突き放してるようでもある。宙ぶらりんで不安定だけど、スリルは最後まで持続する。観てこなかったけど大島渚、なかなかえらいもんやなあと思いました。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*] ゑぎ[*] 水那岐[*] 太陽と戦慄

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