[コメント] 狼たちの午後(1975/米)
退屈な街に突如現れた英雄。だが気まぐれな大衆の支持の基に成り立つそれは束の間の輝きに過ぎない。やがて振り返る者もいなくなり英雄はにわかに輝きを失う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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流行なんて所詮はそんなもの。
わずかな時間ではあったがソニーと心を通わせた人質達。だが身柄を無事保護された彼らの中で、警官に取り押さえられるソニーを振り返る者など誰一人いない。
又、図らずとも多くの支持を集めたソニーは生かされ、彼とは違い最後まで表に出る事の無かったサルには警察の容赦無い鉄槌が下る。
そして彼等に熱狂した若者達の多くも自分達の作り上げた仮初の「英雄(虚像)」の存在などやがて忘れてしまうのだろう。
この映画は忘れられる必然性を担ってしまったアンチヒーローの悲哀で満ちている。又この事件が実在したという事実も、大衆心理の奥底にフラクタルに存在する反社会的願望を浮き彫りにしているように感じる。
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