この分かり易さは何なんでしょう。

冒頭、杖を子供に取られた座頭市を囲む小悪党「へっへっへ、お前も終わりだな」（すかさず後ろで笑う雑魚）。市の紹介役なので当然あっさり殺される。

浅野忠信が剣術を岸辺一徳に披露。岸辺下を向いて「さすがだな」浅野「紐を切ったんじゃねえよ。よく見てみろ」足元に刺さった刀をうっかり見逃した岸辺一徳（＾＾：。驚く後ろの雑魚ども「ひ〜〜」

今の今まで自分達を殺そうとしてた初対面の姉弟に「一体なんでこんな事を」と話を聞く市。「実は・・」と臆面もなく今の今まで殺そうとしてた初対面の市達に不幸な身の上話を語る姉弟。

今まで背を向けてたものに迎合した情けない演出。ストーリーテリングの苦手な武はこの映画で使い古されたベタなマニュアルをつぎはぎしている。借り物の設定は血が通っていない。しかも金髪、ＣＧ、唐突なタップで表面的に奇をてらっている。この分かり易さは今まで避けられてた観客に受けるだろう。商業的にも今までよりは儲かるだろう。その代わり「ほどほどにまとまって楽しめる記憶に残らない無数の映画」の一つになった。

年をとりますます偉くなるにつれ、保守的な言動とリベラルな反骨心を器用に使い分けるしたたかな自身のスタイル同様に映画もますます目先を利かせるようになった。

あくまで好みの問題だが、ストーリーを語る監督はたくさんいるので武にしか作れない武映画がみたい。マニュアルなんてぶっ壊してたかつての作品のような。