[コメント] フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(1966/日)
「怪物」から「怪獣」へのキーワードの移行。それが「殺獣」への免罪符になる。(04年5月23日再見)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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前作『フランケンシュタイン対地底怪獣』において、主役は「怪物」であった。「怪人」と呼ぶには巨大すぎたからでもあるのだろうが、そこにはまだヒューマニズムの残滓が存在している呼称であった。
しかしこの映画のサブタイトルは「フランケンシュタインの怪獣」である。ガイラが東宝怪獣において稀なる傷を負い、その痛みに耐えかねて絶壁を枕に休もうと、「怪獣」なのだから情けをかけるにはあたらない、殺してしまえ、との思考法がその裏にはちらつく。
ヒューマニズムとは「人間絶対主義」である。それゆえに理性をもって人間を喰らうことを自制するサンダも、人間ではないので充分攻撃の対象にはなり得る。かくして二匹の「怪獣」に救済の方法はあり得なくなる。そして唐突な火山の噴火が、前作に続いて主役たちの命を断つのは、人間絶対主義と生命哀憐思想のアンビバレンツに迷うわれらの頭脳が選択した、絶望的な結論と言えるだろう。
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