コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 独裁者と小さな孫(2014/グルジア=仏=英=独)

冷徹な画面が怖い怖い映画だが、同時に、例えば、手を繋ぐ、手を放す、手で目を隠す、耳を塞ぐ、耳に手をあてるといった手の描写、或いは灯りや火といった光の道具立てを使ったシーンなど、繊細な演出の連続で、目が離せなくなる画面の映画だ。
ゑぎ

 ファーストカットの、道路にかけられたシャンデリアの光にまずは瞠目する。電話の指示だけで街の灯りを消したり点けたりするシーン。牛小屋の焚火。床屋のストーブ。火あぶり。手を意識させる所作の演出では、腕相撲、敬礼、散髪のシーンだとか。或いは小道具としてのギターも手の演出に与するだろう。あと、ダンスシーンも意識的に多用される。宮殿でのダンスレッスン。ウェディングドレス姿の新婦が兵士と踊る。牛小屋でのダンス。エンディングもダンスで締められる。

 ただ、怨恨の連鎖を説く政治犯の扱いは、分かるし、共感するのだが、いかにも直截的過ぎて映画としては普通過ぎる(というか短絡的過ぎる)帰結だろう。もっと理屈のない混沌で終わる方が私の好みだ。また、宮殿のシーン、家庭教師とマリアがが絡む場面は少々薄っぺらい。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)ぽんしゅう[*] jollyjoker[*] けにろん[*] 水那岐[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。