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[コメント] エル ELLE(2016/仏)

なかなか懐の深い映画で驚いた。ヴァーホーヴェンってこんな映画を撮るんだ。不勉強でしたです。まず、猫のアップで始まるオープニングがいいのですよ。
ゑぎ

 暴行されたユペールが、結構普通というか、落ち着き払っており、なんだか怖い。すぐに平然と日常生活に戻って、微笑したりしているのも不気味で怖いのだ。この後、どんどん普通じゃない過去や背景、人間関係が繰り出されて、全く緊張感が途切れない展開だ。ユペール以外のキャラクターも皆複雑で一筋縄ではいかない性格付け。特に、会社でも経営パートナーの友人アンナと、隣人で敬虔なクリスチャンのレベッカについての行き届いた演出ぶり、ラスト近くの出番、会話なんか唸ってしまうぐらいだ。

 さて、あからさまなショックシーンも要所で挟んで吃驚させてくれるのだが、冒頭の暴行シーンを中盤でフラッシュバックする部分で、黒い二つの手がいきなり現れ、捕まれるカットが一番ショック。他にも鳥(雀)が突然ドア窓にぶつかるとか、道路でいきなり鹿が飛び出すとか、唐突な運動の衝撃を上手く使っている。

 あと、二台カメラなのか、補完ショットを使っているのか判然としないのだが(多分、マルチ撮影と思われますが)、普通しないところで、アクション繋ぎをする。例えばユペールが、外から帰ってきて、猫に飛びつかれた後のカット。或いは、アンナが、会社で、夫の浮気の疑惑を打ち明ける、ドアを背にしたカットなど、大きなアクションではない人物の立ち姿などで、あまり変化しない構図のカットを繋ぐのだ。これも、ジワリと観客に不安を感じさせる効果を狙っているのだろう。こういう細かな演出も大変面白く見た。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ナム太郎[*] 白いドア ぽんしゅう[*] シーチキン[*]

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