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[コメント] アラバマ物語(1962/米)

ペックのオスカー受賞作。しかもアメリカ映画史に残るヒーロー像とされている、なんてとんでもなく私には合わない代物かと食わず嫌いというか偏見というかがあったのですが、悪くはないですね。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 珍しく原作を先に読んでおり、映画を後に見た。映画ファンにとっては超有名映画の原作なので当然ながら原作を読みながらもアティカスはグレゴリー・ペックをイメージしていたんだと思うが、原作のアティカスはいかにもペックが演じるに相応しい(いやペック以外に考えられないぐらいの)ヒロイックな、だが、能ある鷹は爪を隠すパターンのある意味類型的なキャクターで、さらに映画版を見たいとはしばらく思わなかった。しかし見てみると、想像とは異なりこの映画のペックは相当に抑えて演技しており、彼の中でもかなり好感の持てるキャラクター造型になっている。例えば狂犬をライフルで撃つシーンは最終弁論のシーン以上にこのキャラクターの一番美味しい場面だと思うが眼鏡の扱いがダサかったりして決してストレートにヒロイックな演技演出になっていないところに好感を持つのだ。

 さて、全体を通じてやっぱりラッセル・ハーランの撮影とエルマー・バーンスタインの音楽に尽きる、とも感じるのだが、そんな中で一番演出として感心したのはエピローグ的なラストシーケンス、ハロウィーンのシーン以降だ。こゝが最も映画的な魅力を発散さていると思う。まず、かぶりもの−ハムになる−をして目だけ出しているスカウトの様がいいし、得体の知れない襲撃者の手、足の演出がいい。襲撃シーンの後、ブーを演じるロバート・デュヴァルが扉の影から登場する部分なんかもその唐突さがゾクゾクするではないか。

#原作との一番大きな違いは町の様子がほとんど描かれないところだろう。黒人だけの教会、人種隔離政策も描かれない。あと、幼少時のトルーマン・カポーティをモデルにした少年、デイルももう少し絡ませて欲しかった。

#原作者のハーパー・リーは『カポーティ』でキャサリン・キーナーがやった役。

(評価:★3)

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