会話劇として、けっこう面白い。宗教おばさんのヤバさや、その後、集団ヒステリーで軍人をリンチするとか、あざとい描写と思うので、超良いとは感じない。ミストの中の物体Ｘより、人間のほうがヤバいぜ、ってのは伝わったけど。

それよりかは、引いた会話を誰かしらがしているところが良かったです。人間の行動原理は深いぜって、面白かった。

宗教おばさんのことを怖がる、主人公の息子に、おばさんも怖がってるんだ、と主人公が言う。劇中の息子を安心させるための科白というよりも、観客に向かって本質を言っている。心理の本質を突いているようで、面白いな。と思った。 序盤の発電機を直すためにシャッターを開けようとするオジサンを主人公が怒っていて、スーパーの店長がなだめる。こういうパニックな状況だと、何とかなりそうな事からやりたくなるんだろう、放っておけ、察してやれ、みたいな会話があり、主人公も納得する。スーパーマーケットから脱出する動機も、宗教おばさんがヤバいからで、それを会話の中で言っている。鋭い。

あと、モンスターが襲ってきて、主人公は電気を消せ！といっているのに、電気を点けてまわる人が居たりして、その辺の面白さもあった。

モンスターは、結局、撃退方法が分からないままでした。スーパーに何故集まってきたか、光か臭いか。ミストに干渉するのが悪かったのか。戦い方も、モップの柄や拳銃なんかで、古典的というか、何も考えてないというか。。。でも、ドキドキしました。面白かった。

ラストはどうなんでしょうかね。本当に終わらせてしまったのは、主人公だったというラスト。これは終わったな！的な絶望に襲われて、それでも自分で急ぎ決着をつけちゃだめなんですね。逆説的に、前向きなこといってるなあ、と思いました。冒頭で子供が家で待っているからと言ってスーパーを飛び出したお母さんと子供が軍に救助されている姿が、主人公との対比で映っていますけど、この差は単に、諦めない強さ。

さあ、あと一秒、絶望に耐えたら、ヘリコプターの音が聞こえてくるかもよ？