リヴ・ウルマンの映画ファンのコメント
けにろんのコメント |
秋のソナタ(1978/スウェーデン) | 透徹された表現主義は影を潜め自然主義的表現だからこその火花散る演技合戦に圧倒され、ショッキングなディテールも冴える。そして、カメラの前後の葛藤にも。対極の映画史を背負った2人のBergman。絶望の深淵からしか得られない達観にこそ真実はある。 | [投票(1)] | |
仮面 ペルソナ(1966/スウェーデン) | 神の不在という命題から解き放たれベルイマンは「女」を描くことに、のたうつ様な快楽で臨んでいる。アンデルセンからウルマンへ過渡する冷徹がニクヴィストのトリッキーでシャープなアイデアで最尖鋭化する。『沈黙』と並存する最高峰。 | [投票(2)] | |
叫びとささやき(1972/スウェーデン) | モノクロームの表現主義に傾倒してきた映像作家が虚飾を脱いで彩色世界で曝け出した女性観が血の色だというのが生々しくキツい。手法の変化という以上にベルイマンの内なるミソジニーが全開された転換点。だが先鋭的な神秘主義が後退したのが物足りない。 | [投票] | |
ある結婚の風景(1973/スウェーデン) | 所詮ダイジェストだと思うが、巧緻を極めた技巧には興味を失ったベルイマンが剥き出しで生な男と女の葛藤のみをひたすらに描くようになったのは懺悔でも自己賛でもなく歳を経て現れた冷めた人間愛とも言うべきものらしいのがクール。 | [投票(3)] | |
遠すぎた橋(1977/英=米) | 失敗に終わった多面的作戦の、何がどうなっているか判らない混沌が延々と展開し、数多のオールスター達が状況に埋没してしまったかのようなのが皮肉にも極めてリアル。贅を凝らした大物量スペクタクルなのに静的なシーンのみ印象に残る。勇壮さの欠片もない。 | [投票(1)] |