★4 | 土を喰らう十二ヵ月(2022/日) | 自生食材を採取し蒸して熱々を喰う。美味い酒があれば尚いい。12ヶ月をかけたそのリアリズムへの拘りは魚肉偏重の俺をも溶き解す。義母や亡妻や彼女との別れは過ぎ去っていき変わらぬ日々が続くだろう。そういった枯淡の境地を沢田は力まず体現してる。 | [投票(1)] |
★3 | テキヤの石松(1976/日) | テキ屋の啖呵は寅次郎、高嶺の花に岡惚れは桃次郎の劣化コピーであり良くもまあと思うのだが松方は一所懸命演っている。吉本勢の好サポートもあり退屈はしないが、後半の一大ペテンは哀しいまでに茶番で新喜劇めいている。小池の胡散臭さが映画的。 | [投票] |
★3 | 男はつらいよ 寅次郎純情詩集(1976/日) | 京マチ子という超弩級のマドンナを迎えたにしては余りにミスマッチだし食い足りない展開。同系若尾文子も使いこなせなかった山田の弱点が露呈。檀ふみで茶を濁さざる得ない序盤が無駄で虚しい。 | [投票(1)] |
★3 | 男はつらいよ ぼくの伯父さん(1989/日) | ここまで寅の恋の一線からの撤退を明快に呈示しちまって、代替が半端な満男の恋シリーズってんじゃ山田洋二も誠実味を欠くってもんだ。出演者皆歳喰って侘びしさだけが募るってのにはんちく野郎の半端な行動が輪をかけるってのよ。 | [投票(1)] |
★3 | 昭和残侠伝 破れ傘(1972/日) | これでもかの義理の釣瓶打ちが並列に配置されるだけで一向に錯綜も相乗もせず、挙句にばったばったと登場人物を殺して回収するだけ…で、お決まりの道行き&殴り込みと相成るのが釈然としないが、まあ、それでも「唐獅子牡丹」が流れりゃ条件反射で血も踊る。 | [投票] |
★4 | 雨あがる(1999/日) | 如何にもな黒澤的教条臭が鼻につく一方、主演2人の醸し出す夫婦の間に流れる空気の裏も表もなく互いを思い遣る気持ちの清々しさに心深く打たれる。ただ、小泉演出には1級の贋作を見たかのようなもどかしさを感じた。余りと言えば余りにまんま過ぎ。 | [投票(3)] |
★4 | 夜叉(1985/日) | 脛に傷持つ者達が流れて辿り着いた裏日本。今更のド演歌設定を愚直に衒い無く描く降旗節。ときには恥ずかしく鬱陶しいが、ここではプラスに作用。受けの高倉を蹂躙する田中裕子の強烈なエロスとたけしの紙一重な狂気。敦賀のシーンは皆良い。 | [投票(3)] |
★2 | ねらわれた学園(1981/日) | 多くの前兆や予感をはらんだ前半が良かったのに後半は崩壊してしまった。まあ、大林としては確信的だったのだろうが、壊し方の好みの問題だと思う。役者手塚真のアナーキーなセンス等見所も少なくはなかった。 | [投票(2)] |
★4 | 青春の蹉跌(1974/日) | ドラマトゥルギーに興味ない監督・脚本・主演が揃って原作の枠組は融解し、残滓も形骸の誹りを免れない。しかし、どこまで本気か知れぬ浮ついた2人が雪山でじゃれ合い道行の体をなすあたり神代の真骨頂。雑木の洞に収まるかおりは地蔵菩薩のよう。 | [投票(2)] |