[あらすじ] 父の祈りを(1993/米)
中学卒業したばかりのジェリー・コンロンが住むベルファストの町は戦場でした。イギリス軍施設が爆破され、兵隊が撃たれたり路上での銃撃戦は日常茶飯事。イギリス政府は1969年に治安部隊を常駐させ、これに対抗するため、住民らはアイルランド共和国軍(IRA)と、その政治組織シン・フェイン党を組織し、テロ活動が活発化していた時期です。ジェリーはこの頃、万引きの常習犯で、稼ぎの大半を酒と競馬につぎ込むという不良生活。IRAに参加すれば真っ当な道を歩むのではないかという話が出て一時接近しますが、パブで盗みを働いたため、追い出されてしまいます。
ロンドンに稼ぎに出かけたジェリーは、3週間ほど仕事をしたあと、まんまと空き巣に成功。大金を手にしても賭け事や酒で使い果たし、故郷ベルファストに帰ります。ジェリーがロンドンにいた頃、ロンドン近郊のギルフォードでパブが2軒爆破されていました(1974年)。
テロ活動防止法が制定された矢先の事件だったため、警察は焦ったあまり、見込み捜査を行ない、ジェリーが逮捕されてしまいます。しかもこのテロ活動防止法は稀代の悪法でした。(以上、物語の背景)
みどころ:勤勉で真面目、思いやりのある父親ジュゼッペ(ピート・ポスルスウェイト)と、その父をも罪に陥れてしまった不良息子ジェリーとの父子関係。
話題:弁護士役エマ・トンプソンの演技と、あらすじで触れたU2のボノの参加。
主演のダニエル・デイ・ルイスは、本作のためにベルファスト訛りを習得。演じる役柄によって声、表情、仕草、言葉つき…全てが変わってしまう役作りで知られている。
アカデミー賞:ピート・ポスルスウェイトとエマ・トンプソンは本作でアカデミー賞ノミネート。アカデミーの監督賞、作品賞にもノミネートされましたが、『シンドラーのリスト』にさらわれてしまいました(同じく有力視されていた『ピアノ・レッスン』も)。
ベルリン国際映画祭では金熊賞(グランプリ)を受賞。
なお、原作は集英社文庫から日本語訳が出ています(ゲリー・コンロン著『父の祈りを』集英社文庫)が、絶版かも……。文庫を扱う図書館で見つかると思いますが。
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